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土仏観音

更新日:2016-03-05
むかしむかし越前の坪江村にある滝沢寺の和尚が京都で修業していた時の事です。
道ばたに十八人の子供たちが集まって泥だんごで二十三体の観音さまを作っていました。
その観音さまの出来があまりにも良いので和尚が感心していると子供たちはその中でも
一番出来のいい観音さまをくれると言うのです。
『ありがとう。 きっと大切に・・・』
と、和尚がおじぎをして頭を上げてみるとそこには誰もいません。
『・・・そうか、これはきっと仏さまが私にくだされた物に違いない』
そう考えた和尚はその観音さまを肌身離さず持っていました。

さて、ある日のこと旅に出た和尚は山の中で道に迷ってしまいました。
ほとほと困りはてていると一軒の家が見つかりました。
和尚が一晩泊めてくれるように頼んでみると中にいたひげづらの男とその女房は
気持ちよく迎えてくれました。
ほっとした和尚はすぐにぐっすり眠ってしまいました。
それを見た二人はニヤリと笑い
『へっへへへ。久しぶりの獲物じゃ。今のうちに殺してしまおう』
と顔を見合わせました。
なんとそこは山賊の住み家だったのです。
男は刀を抜くと眠っている和尚の首を切り落としました。
『よしよし。後の始末は明日にしよう』
と言ってその晩はそのまま寝てしまいました。

さて次の日の朝二人がまだ眠っているとお経を読む声が聞こえてきます。
『何だ?まさか!』
びっくりして目を覚ました二人が和尚を殺した部屋に行ってみると
なんと殺したはずの和尚が座ってお経を読んでいるではありませんか。
『ゆ、ゆ、幽霊、幽霊だ!勘弁、勘弁してくれ!』
二人がガタガタ震えていると、和尚が言いました。
『二人とも何を寝ぼけているのじゃ?いくら坊主でも幽霊とはひどい話だ』
『しかし、わしはゆうべ確かにお前の首をこの刀ではねたんじゃぞ』
『それならどうしてわしは生きておるのだ?……
そうか、もしかして、観音さまが助けてくださったのかもしれん』
そう言いながら和尚さんはふところから取り出した観音さまを見てびっくり。
なんと観音さまの首筋に刀の傷跡があり今にも首が落ちそうになっていたのでした。
『やはり観音さまが私の身替りになってくださったのか』
和尚は観音さまに深く頭を下げました。
それを見ていた山賊の夫婦は心から改心してそれからは仏につかえて一生をすごしたのです。
今でも滝沢寺にはその土仏観音がまつられているということです。

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